2007年1月 7日

文庫 夜のピクニック
夜のピクニック夜のピクニック
恩田 陸

新潮社 2006-09

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これはいい本だね。私の感覚だと登場人物の高校3年の登場人物たちは、早熟で二十歳ぐらいの年齢に思えてしまうが、老いるまで何回も読みたくなって希望を連想する作品だ。

家には新品の文庫本を購入したのだが、山歩用に古本屋でむしろ草臥れたものでいいからもう一冊買い求めて ザックの中に常備したい と 思える好きになった作品なのだ。私、中年のおっさんなんですけどね。

作者が登場人物「戸田 忍」に語らせる胆の部分:

「おまえが早いところ立派な大人になって、一日も早くお袋さんに楽させたい、一人立ちしたいっていうのはよーく分かるよ。あえて雑音をシャットアウトして、さっさと階段を上がりきりたい気持ちは痛いほど分かるけどさ。もちろん、おまえのそういうところ、俺は尊敬している。だけどさ、雑音だって、おまえを作ってるんだよ。雑音はうるさいけど、やっぱ聞いておかなきゃなんない時だってあるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。おまえ、いつか絶対、あの時聞いておけばよかったって後悔する日が来ると思う」

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